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学術調査

ミクロネシア連邦 ナン・マドール海底遺跡調査

当社は2013年2月10日から18日の間、ミクロネシア連邦の首都ポンペイ島に位置する、ナン・マドール海底遺跡調査を行った。超音波測深機による3次元精密海底地形図作成・水中ロボットカメラによる海底撮影・アクアラングによる潜水岩質調査を実施した。
これらのデータは今後、ナン・マドールを研究する基礎資料となる。今後も、奈良文化財・東京大学・文化遺産国際協力コンソーシアムと協力し、調査を進めていく予定である。
スカンジナビア号

ナン・マドール遺跡について
ナン・マドール遺跡はミクロネシア連邦ポーンペイ島の海上にあり、玄武岩などで構築された大小95の人工島が、約1.5×0.7kmの範囲に点在する巨石文化の遺跡である。これまでの考古学的調査によると、西暦500年頃から人工島の構築が開始され、西暦1000〜1200年頃に首長を頂点、シャウテレウル王朝が形成された。口承伝承は、480km東のコスラエ島からやってきたイショケレケルという若者に征服されたと伝えており、その時期は西暦1500〜1600年頃と推定されている。この遺跡は王宮・神殿・王墓・居住域からなる複合的な都市遺跡で、95の島それぞれには固有の名前と口承伝承が伝わっている。各島の間には水路が張り巡らされており、人々は水路を利用してカヌーで島と島の間を行き来していたと考えられている。ナン・マドール遺跡はポーンペイ島にかつて存在した壮大な古代王朝の存在を示す証人であり、現地の住民にとっては、いまなお神聖な場所として認識されている。さらにこの遺跡は、地球の表面積の三分の一を占める広大な太平洋地域において、最も大規模かつ壮麗な遺跡のひとつであり、太平洋地域に住む人々の文化の到達点を示す重要な遺跡でもある。その意味で、人類全体にとっても顕著な普遍的価値をもつ遺産のひとつであることはまちがいない。


ナン・マドール遺跡の現状
ナン・マドール遺跡は、喪われた巨石文化の面影を雄弁に現在にまで伝えているが、一方で遺跡の保存にはさまざまな課題が課せられている。まず、遺跡自体の物理的崩壊というリスクがある。巨大な玄武岩により組み上げられた構築物の一部は崩壊が進行している。例えば、外海に面した人工島「カリアン」では高波による浸食の影響が顕著にみとめられ、さらに近年の気候変動によって、高波の悪影響が進むことが懸念されている。また、遺跡に繁茂する植物によるネガティブ・インパクトも懸念される。例えば、樹木から伸びた根が石造建造物を崩している事例が数多く見られる。また、人工島の間に張り巡らされた水路にマングローブが繁茂することで、水路の水の流れをさまたげ、水路内に泥が沈澱し、海に浮かぶ遺跡の景観を損ねてしまっていることも懸念される。近年の気候変動が、こうした植物の繁茂に何らかの影響を与えている可能性も否定できない。
これらのリスクを評価し適切に解決するには、さらなる科学的なアセスメントが必要となることは言うまでもありません。重要なのは、人類共通の遺産でもあるこの遺跡の保存にかかる努力を、ただ現地の住民や当局者に押し付けるだけではなく、国際社会が取り組むべき課題として協力していくことが必要である。この意をくみ、文化遺産国際協力コンソーシアム・奈良文化財研究所・東京大学・株式会社ウインディーネットワークが協力し、遺跡の神話として伝えられているナン・マドール遺跡に面する海洋調査を開始した。

MAY12-16 2014  ASIA-PACIFIC CONFERENCE ON UNDER WATER CULTURL HERITAGE 発表資料

Nan Madol move

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